バーチャルオフィスの住所で法人登記をした。あるいは、これからする。 そこで決まって出てくるのが「その住所で法人口座は作れるのか」という不安です。
検索すると「作れる」「作れない」「実績多数」が入り混じって出てきます。 どれも根拠が書かれていないので、読むほど分からなくなります。
結論から言うと、2026年9月14日に確認した範囲で、銀行11先のうち「バーチャルオフィスの住所は不可」と公式に書いている先は1つもありませんでした。ただし信用金庫1庫だけは、「レンタルオフィス・シェアオフィス等の場合はお断りさせていただく場合があります」と公式PDFに明記しています。 そのうえで各行が共通して求めているのは、登記事項証明書とは別の「事業の実体を第三者の書類で示すもの」です。 審査の中身は住所ではなく、大半はそこにあります。
この記事では、法令と行政の要請文を原文でたどり、主要な銀行の公式「必要書類」ページを同じ日に読み比べました。 あわせて、バーチャルオフィス各社が掲げる「口座開設実績」が何を指しているのかを、HTMLの中身まで確認して書き分けています。
法人登記そのものの条件(登記に使えるプラン、解約時の移転登記)はバーチャルオフィスで法人登記|10社比較で整理しています。 本記事は、その次の段階である口座開設だけを扱います。
この記事の位置づけ
先に、この記事がどういう立場で書かれているかを明示します。
筆者は、ここで取り上げる銀行で法人口座を開設した経験がありません。 法人を設立したこともありません。 そのため本記事は、法令・行政資料・各行および各社の公式ページで確認した事実の整理として書いています。
体験談は1行も入っていません。その代わりに、次の作業を行いました。
- 犯罪による収益の移転防止に関する法律(以下、犯罪収益移転防止法)の第4条と施行規則第10条の現行条文を、e-Gov法令検索のAPIで取得して読んだ
- 金融庁の要請文(平成25年9月3日)と、金融庁・警察庁の連名要請(令和6年8月23日)を原文で読んだ
- 銀行11先(ネット銀行4・都市銀行3・りそな・ゆうちょ・信用金庫2)の公式「必要書類」ページを2026年9月14日に取得し、「バーチャルオフィス」「レンタルオフィス」「シェアオフィス」への言及の有無を全文検索した(りそなは申込フォームの生HTML、東京三協信用金庫はPDFの本文を対象にした)
- バーチャルオフィス5社の「口座開設実績」ページを生HTMLで取得し、本文・画像のalt属性・CSSクラス名のどこに何が書かれているかを分けて記録した
- 確認できなかった項目は、推測せず「公式に記載なし」「確認できず」と書いた
「この銀行なら通る」という順位づけは、根拠なしにはしません。 各行の審査基準は公開されていないからです(楽天銀行は「詳細については公開しておりません」と明記しています)。
結論:見られるのは住所ではなく「事業の実体を示す第三者の書類」
先に全体像を1枚にします。
| 論点 | 公式資料で確認できたこと |
|---|---|
| 銀行が確認しなければならない事項 | 名称と本店所在地/取引目的/事業の内容/実質的支配者の4点(犯罪収益移転防止法第4条第1項) |
| 法令上「事業の内容」を確認する書類 | 定款、登記事項証明書など4種のいずれか(施行規則第10条第2号)。金融庁は「いずれかが確認できれば足りるとするなど、顧客の利便性にも配慮」を要請(平成25年) |
| それでも各行が追加で求めているもの | 契約書・他社発行の請求書・許認可証・ホームページなど「現在、実際に事業活動が行われていること」を示す書類 |
| なぜ追加で求めるのか | 金融庁・警察庁が令和6年8月に「口座開設時審査における、より厳格な実態・利用目的の確認」を全預金取扱金融機関に要請 |
| 「バーチャルオフィス不可」と明記した銀行 | 確認した11先のうち銀行では見つからず。GMOあおぞらネット銀行は「開設できます」と明記。楽天銀行・PayPay銀行はバーチャルオフィス利用時の追加書類・住所の扱いを明記 |
| 「断る場合がある」と明記していた先 | 東京三協信用金庫のPDFに「レンタルオフィス・シェアオフィス等の場合はお断りさせていただく場合があります」。「バーチャルオフィス」の語ではないが、11先の中で同種の住所形態を名指ししていたのはこの1庫だけ(2026年9月14日・当サイト調べ) |
| 各社の「開設実績」の意味 | レゾナンス・GMO・DMMは「会員宛に銀行からの郵便物が届いている」ことを実績と定義。開設を約束するものではないと各社自身が明記 |
つまり、読者が準備すべきなのは「住所の説明」ではなく、第三者が関与した事業の証拠です。 ここから先は、その根拠を順に示します。
なぜ審査が厳しいのか:法令と行政要請を原文で確認する
犯罪収益移転防止法第4条が定める4つの確認事項
銀行が口座開設時に行う確認は、銀行の裁量ではなく法律上の義務です。 e-Gov法令検索で2026年9月14日に取得した現行条文の第4条第1項は、確認事項を次のように定めています。
一 本人特定事項(……法人にあっては名称及び本店又は主たる事務所の所在地をいう。以下同じ。) 二 取引を行う目的 三 当該顧客等が自然人である場合にあっては職業、当該顧客等が法人である場合にあっては事業の内容 四 当該顧客等が法人である場合において、その事業経営を実質的に支配することが可能となる関係にあるものとして主務省令で定める者があるときにあっては、その者の本人特定事項
出典: 犯罪による収益の移転防止に関する法律(e-Gov法令検索) 第4条第1項(2026年9月14日確認)
バーチャルオフィスの事業者自身も、同じ法律で「特定事業者」に位置づけられています。 そちら側の審査はバーチャルオフィスの審査|落ちる理由と書類で扱っています。
「事業の内容」を確認する書類は施行規則第10条に列挙されている
このうち第三号「事業の内容」の確認方法は、施行規則第10条第2号が定めています。 法人の顧客については、次の書類のいずれか(またはその写し)を確認する方法です。
| 区分 | 施行規則第10条第2号の書類 |
|---|---|
| イ | 定款 |
| ロ | 法令の規定により当該法人が作成することとされている書類で、事業の内容の記載があるもの |
| ハ | 設立の登記に係る登記事項証明書 |
| ニ | 官公庁から発行され、又は発給された書類その他これに類するもので、事業の内容の記載があるもの |
ハとニ(有効期限のないもの)は、確認する日の前6か月以内に作成されたものに限る、とされています。
出典: 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則(e-Gov法令検索) 第10条(2026年9月14日確認)
金融庁は平成25年に「いずれか1つで足りる」よう配慮を求めた
金融庁監督局長は平成25年9月3日、関係金融業界団体等に要請文を出しています。 要旨は、上の(a)〜(d)に当たる書類の扱いです。
犯収法第4条第2項に規定されている一定の場合には追加の確認を行うなど必要な対応が求められるところですが、そのような事情が認められない場合には、同条第1項及び主務省令で規定されている書類のいずれかが確認できれば足りるとするなど、顧客の利便性にも配慮した適切な対応を行っていただきますよう、周知徹底方よろしくお取り計らい願います。
出典: 金融庁「法人口座開設に係る取引時確認について」(平成25年9月3日)(2026年9月14日確認)
全国銀行協会の案内にも、法人の「事業内容」の確認書類として「登記事項証明書」「定款 等」が挙げられ、「同法にもとづき登記事項証明書をお持ちになる場合、確認事項は複数ありますが、1通のみで結構です」と書かれています。 一方で同じ表に、こうも書かれています。
※2 事業内容等の確認のため、同法で定められた書類(上記)以外の書類のご提示をお願いすることがあります。
出典: 全国銀行協会「犯罪による収益の移転防止に関する法律の改正に伴うお取引時の確認について」(2026年9月14日確認)
法令上の最低ラインは登記事項証明書1通。しかし銀行はそれ以外の書類を求めることがある。 この「それ以外の書類」が、実務で審査の分かれ目になっています。
令和6年8月、金融庁と警察庁が「口座開設時の実態確認の強化」を全金融機関に要請した
背景がもう1つあります。 金融庁と警察庁は令和6年8月23日、「法人口座を含む預貯金口座の不正利用等防止に向けた対策の一層の強化について」を要請しました。
概要資料には、こう書かれています。
SNS型投資・ロマンス詐欺の急増、法人口座を悪用した事案の発生等を受け、預貯金口座を通じて行われる金融犯罪への対策は急務
インターネットバンキング等の非対面取引が広く普及していることを踏まえ、以下の対策は規模・立地によらず必要であり、全ての預金取扱金融機関に対し、24年8月に対策を要請
要請項目の1つ目が「口座開設時における不正利用防止及び実態把握の強化」です。 具体策として、次の記述があります。
疑わしい取引の届出や警察からの凍結依頼対象等、口座の不正利用リスクが高い顧客の属性・傾向の調査・分析、これらの特徴に合致する顧客の口座開設時審査における、より厳格な実態・利用目的の確認
(特に口座開設後の早期に不正利用が多い場合)開設後一定期間の取引種類・金額等の制限
出典: 金融庁「法人口座を含む預貯金口座の不正利用等防止に向けた対策の一層の強化について」(令和6年8月23日)/概要PDF(2026年9月14日確認)
三菱UFJ銀行の法人口座開設ページにも「当局から各金融機関への指導」を理由に事業内容を尋ねる旨が書かれており、さがみ信用金庫や東京三協信用金庫のページも「法人口座を悪用した詐欺被害」を冒頭に置いています。 審査が厳しいのは、バーチャルオフィスが嫌われているからではなく、法人口座そのものが不正利用の標的になっているからです。
一次情報テーブル:11先の公式「必要書類」を同じ日に確認した
2026年9月14日に各行の公式ページを取得し、次の4点を確認しました。 「バーチャルオフィス」という語が公式ページに出てくるか。事業の実体を示す書類を求めているか。申込の形式と所要日数。郵便物の受取条件。
審査基準そのものは、どの銀行も公開していません。以下は「求めている書類と、公式に書かれている条件」だけです。
ネット銀行4行
| 銀行 | 「バーチャルオフィス」への公式の言及 | 事業の実体を示す書類 | 申込形式・所要日数(公式記載) | 郵便物の受取条件 |
|---|---|---|---|---|
| GMOあおぞらネット銀行 | 法人口座FAQに「バーチャルオフィス・レンタルオフィスを法人の登記住所としている場合でも、GMOあおぞらネット銀行の法人口座を開設できます。ただし、口座開設後に当社から登録法人住所宛てに転送不要の簡易書留を送付するため、その郵便物を受け取れることが必須条件となります。」。別のサポートFAQ(2025年8月1日更新)には郵便物の転送サービス利用中でも開設できる旨の記載 | 「事業内容確認書類」を1点以上(最大10点)。許認可証、締結済み契約書、ホームページ、他社発行の請求書、自社発行の請求書+入出金明細、会社案内など | Web完結。取引責任者=代表者で、マイナンバーカード読取の本人確認なら「最短即日」(休業日を除く)。AI面談は任意 | 法人の登録住所宛と取引責任者宛の両方に転送不要の簡易書留。「両方の書面を受け取りできない場合は、口座開設手続きが完了せず口座をご利用いただけない場合がございます」。第三者受取に伴うリスクは顧客の責任と明記 |
| ドコモSMTBネット銀行(旧 住信SBIネット銀行) | 「バーチャルオフィス連携サービス」のページを設置し、提携事業者を紹介。口座開設の可否をバーチャルオフィス利用者向けに明記した文言は確認できず | オンライン申込では登記簿謄本・印鑑証明書・代表者本人確認書類の郵送が不要。事業内容確認書類の一覧ページは確認できず | オンライン申込で「最短翌日」。郵送申込は書類審査5営業日 | カードは法人住所宛に転送不要の簡易書留で4〜5営業日後。「審査の過程で、ご登録の電話番号やメールアドレス宛てにご連絡する場合があります。ご連絡が取れない場合、口座開設が見合わせとなることがあります。」 |
| PayPay銀行 | 必要書類ページに「キャッシュカード等は法人の現住所に簡易書留(転送不要)でお送りします。移転やバーチャルオフィス利用などにより、転送届を出していても、受け取れません。」登記住所と受取住所が異なる場合は「法人現住所」を別途入力し、法人の補助資料が必要 | 「事業内容の確認資料」1点が必須。「他の資料(履歴事項全部証明書など)で代用することはできません。なお、資料が提出できないお客さまは口座開設できません。法人を設立したばかりもお客さまも同様です。」 | Web完結。「最短当日で口座開設可能」。1法人につき1口座 | 法人の現住所に転送不要の簡易書留。転送届を出している住所は現住所として登録できない |
| 楽天銀行 | 必要書類ページに「※主たる事務所としてバーチャルオフィス・レンタルオフィスをご利用の場合は上記資料の提出が必要となります。」(上記資料=事業実態が確認できる書類) | 「事業実態が確認できる書類」1点が提出必須(許認可、貴社宛の発注書・納品書・請求書、本業に関わる契約書、取扱商品確認資料)。ホームページがあっても設立6か月以内なら必要 | WEB申込+書類の郵送。「スマートフォンから法人ビシネス口座の申込はできません。パソコンから」と明記。所要日数は公式に記載なし。「口座開設時の審査には、楽天銀行で定めた一定の審査基準がございますが、詳細については公開しておりません」(注意事項ページ) | 連絡先住所宛と担当者自宅宛の2通の転送不要簡易書留を両方受け取る必要あり |
出典: GMOあおぞらネット銀行 法人口座開設をご検討の方のよくあるご質問(FAQ)/法人口座ご利用までの流れ/事業内容確認書類について、ドコモSMTBネット銀行 法人口座開設の流れ/バーチャルオフィス連携サービス、PayPay銀行 口座開設に必要な書類(法人)/業務内容が確認できるホームページとは、楽天銀行 法人ビジネス口座 必要書類/口座開設に関する注意事項(いずれも2026年9月14日確認)
都市銀行3行・りそな銀行・ゆうちょ銀行
| 銀行 | 「バーチャルオフィス」への公式の言及 | 事業の実体を示す書類 | 申込形式・所要日数(公式記載) |
|---|---|---|---|
| 三井住友銀行(Trunk) | 確認できず | 「事業内容が確認できる書類」1点が全員必須(6か月以内)。締結済み契約書、他社発行の請求書等、自社発行の請求書等、売上・仕入・活動状況が客観的に分かる書類。設立間もない場合に限り事業計画書も可。受付できない書類として「履歴事項全部証明書(登記簿謄本)、定款、……公共料金請求書、オフィスの契約書、司法書士との契約書、名刺・ホームページ作成の請求書など」を明記 | オンライン完結、Web面談あり。「最短で即日に開設が可能」「お申込みはオンライン完結で郵送も来店も不要」。法人の印鑑証明書の原本郵送が要るのは、代表者以外が手続きする場合など一部 |
| 三菱UFJ銀行 | 確認できず | 必須は履歴事項全部証明書・法人の印鑑証明書(各6か月以内)・取引担当者の本人確認資料。許認可業種は許認可資料。「会社案内、製品カタログ、パンフレット、お取引先さま向けご提案書(資料)、見積書、仕様書等の追加のご提示をお願いすることがあります」 | WEB申込。FAQに手続きの流れとして「①申込登録 ②……必要書類のアップロード ③WEB面談 ④お客さまによる申込書類の印刷・当行宛郵送 ⑤口座開設」。所要日数はFAQに「混雑状況によりますが、申込登録から約1ヵ月~1ヵ月半程度要する場合がございます」。「ご相談内容によっては口座開設をお断りすることもございますのでご了承ください」。申込は「主たる事業所」の最寄り店舗が受け付ける |
| みずほ銀行 | 確認できず。ただしFAQ(faq.mizuhobank.co.jp)しか取得できていない。本体サイト(www.mizuhobank.co.jp)は当サイトからのアクセスが403で拒否され、2026年9月14日時点で内容を確認できていない。本体側に記載がある可能性は排除できない | ネット受付の場合、ウェブ面談までに「事業内容や事業実態が分かる資料」を「必要に応じ」提出。例として会社案内、商品パンフレット、受注書・発注書や請求書など | ネット受付→ウェブ面談。所要日数は取得できたページに記載なし |
| りそな銀行 | WEB申込フォームの「本社は以下のどれに該当しますか?」に「自己所有/間借り/賃貸/バーチャルオフィス」の選択肢がある(申込画面の生HTMLで確認) | 履歴事項全部証明書(発行後3か月以内)・実質的支配者の確認書類・本社確認書類が必須。本社で「バーチャルオフィス」を選ぶと、必要書類は「契約名義・契約プラン(契約期間・賃料等)記載の書面(利用申込書、利用承諾書等)」または同内容の「画面キャプチャ」。一方「事業内容確認書類」「事業実態確認書類」は「任意」と表示 | 条件を満たすと来店不要・原則面談なし。「面談についてはお客さまの状況に応じて実施する場合があります」 |
| ゆうちょ銀行 | 確認できず | 履歴事項全部証明書(原本)、法人の印鑑証明書(原本)、法人番号が確認できる書類、実質的支配者が確認できる書類、財務状況が確認できる書類(決算書類等)、「事業内容が分かる書類」。設立後6か月以内の法人には、さらに「主たる事務所の建物登記簿謄本(原本)」「主たる事務所の賃貸借契約書(原本)」などのうち1点が追加で必要(選択肢は複数あるため公式ページで要確認) | 来店。「審査には1か月程度を必要とします」「例年3月から6月まで申し込みが集中し、審査に2か月程度を要する場合があります」 |
出典: 三井住友銀行 法人口座(Trunk)必要書類/Trunk、三菱UFJ銀行 法人口座開設/WEB法人口座開設 FAQ、みずほ銀行 FAQ No.8653「法人口座開設時に必要な書類は何ですか。」(更新日2025年12月3日)、りそな銀行 法人口座開設/必要な書類、ゆうちょ銀行「法人口座を開設されるお客さまへ」(いずれも2026年9月14日確認)
信用金庫2庫(例)
信用金庫は地域ごとに条件が異なるため、公式ページで手順を公開している2庫を例として載せます。
| 金庫 | 公式ページの記載 |
|---|---|
| さがみ信用金庫 | 来店申込。「必要に応じて、当金庫担当者による事務所への訪問や追加書類のご提示等をお願いする場合もございます」「口座開設のお申出をいただいてから概ね1週間から10日程度の間に、口座開設等の可否についてご連絡」「総合的判断により口座開設をお断りする場合もございます」 |
| 東京三協信用金庫 | PDF(改2025.7)の「ご留意事項」に「口座開設にあたり、渉外担当者が事業所を訪問させていただきます」「法人設立1年未満や当金庫エリア外の場合は、口座開設をお断りさせていただく場合があります」、そして「レンタルオフィス・シェアオフィス等の場合はお断りさせていただく場合があります」。審査に1〜2週間程度。「口座開設をお断りした場合であっても、原則資料のコピー(写し)はご返却いたしません」 |
出典: さがみ信用金庫「新規法人口座開設」、東京三協信用金庫「法人口座を開設されるお客さまへ」PDF(2026年9月14日確認)
バーチャルオフィス利用者にとって、この2庫の記載は今回いちばん重い情報です。
1つは「事務所への訪問」が公式手順に入っていること。訪問先に事業の実体がなければ、説明が難しくなります。 もう1つは、東京三協信用金庫が「レンタルオフィス・シェアオフィス等の場合はお断りさせていただく場合があります」と、住所の形態そのものを名指しして断る可能性を書いていることです。 バーチャルオフィスは「等」に含まれるのか、それとも別扱いなのか。ここは公式PDFからは読み取れません。同金庫への確認が必要です。
信用金庫は地域ごとに条件が異なります。この2庫の記載が他の信用金庫に当てはまるわけではありませんが、「信用金庫は訪問と対面が前提になりやすい」ことは押さえておいてください。
「バーチャルオフィス不可」と明記した銀行はあったか
確認した11先の公式ページを全文検索した結果は、次のとおりです。
| 分類 | 銀行 |
|---|---|
| 「開設できます」と明記 | GMOあおぞらネット銀行 |
| バーチャルオフィス利用時の追加書類・住所の扱いを明記(可否は書かず) | 楽天銀行、PayPay銀行 |
| 申込フォームに「バーチャルオフィス」の選択肢がある | りそな銀行 |
| バーチャルオフィス向けの提携ページを設置(可否の文言なし) | ドコモSMTBネット銀行 |
| 公式ページに「バーチャルオフィス」の語が見当たらない | 三井住友、三菱UFJ、みずほ(FAQ)、ゆうちょ、さがみ信用金庫 |
| 同種の住所形態を名指しして「お断りする場合がある」と明記 | 東京三協信用金庫(「レンタルオフィス・シェアオフィス等の場合はお断りさせていただく場合があります」) |
| 「バーチャルオフィス」という語で「不可」と明記 | 見つからず |
ここは正確に読んでください。
「バーチャルオフィス」という語で一律不可としている先は、11先の中にありませんでした。 しかし東京三協信用金庫だけは、「レンタルオフィス・シェアオフィス等」という同種の住所形態を名指しして、断る場合があるとPDFに書いています。 「等」にバーチャルオフィスが含まれるかは同金庫に確認するほかありませんが、少なくとも「どこも断らない」ではないというのが、11先を読んだ結論です。
また「不可」の記載がないことは、審査に通ることを意味しません。 各行が「総合的判断」「お断りする場合がある」と書いている以上、結果は個別です。
審査で見られる観点を、各行の「必要書類」から逆算する
各行が求める書類を並べると、共通して見ようとしているものが浮かびます。
1. 「現在、実際に事業活動が行われていること」を第三者の書類で示す
GMOあおぞらネット銀行の「事業内容確認書類について」は、確認事項をこう書いています。
現在、実際に事業活動が行われていること 第三者の関与(捺印や入出金の履歴、商品・サービスに関する口コミ、メールやり取りの履歴など)が書類上に記載されていると、確認がしやすくなります。 事業内容を自社作成で完結する書類(会社概要、事業計画書など)でご提示いただく場合は、上記の第三者の関与が分かる追加書類をご提出ください。
三井住友銀行も「お客さまと他社の取引が分かる書類をご提出いただくと、確認がしやすくなります」と書き、受付できない書類として登記簿謄本・定款・オフィスの契約書を挙げています。
| 書類の型 | 各行の扱い |
|---|---|
| 他社が発行した請求書・発注書・納品書 | GMOあおぞら・三井住友・楽天・PayPay・みずほが例示。「貴社宛のもの」(楽天) |
| 締結済みの契約書 | 同上。GMOあおぞらは「全ページが揃っている」「締結の署名、印影がある」を条件に |
| 自社発行の請求書 | GMOあおぞら・PayPayは「その入出金が確認できる口座明細」とセットで可。「自社発行の書類は客観性に欠ける」(GMOあおぞら) |
| 許認可証 | 許認可業種は各行で必須。古物商許可はGMOあおぞらの例示に「リサイクル業者、中古品売買業者」として登場。PayPayは古物許可証提出時に「その他の事業内容の確認資料」も要求 |
| 事業計画書 | 三井住友は「設立間もないお客さまで、上記書類が提出できない場合に限り」可。PayPayの列挙には事業計画書がない |
ネットで中古品を売る読者なら、古物商許可は「許認可証」として複数の銀行が明示的に受け付ける書類です。 ただしPayPay銀行のように、古物許可証だけでは足りず取引の書類をあわせて求める行もあります。
2. ホームページは「あれば良い」ではなく条件つき
PayPay銀行は「業務内容が確認できるホームページ」の条件を独立したページで定めています。
- Yahoo!ショッピング、Amazon、楽天市場などのURLも対象
- 「特定の無料Webサービスで作成されたホームページは対象外です(独自ドメインは可)」。例としてwixsite.com、wordpress.com
- 会社概要(法人名、所在地、連絡先、代表者・役員の本名)、事業内容と運営状況、通販事業者なら特定商取引法に基づく記載を確認
- 「準備中のホームページ」「日本語以外の表記」は確認できないパターン
GMOあおぞらネット銀行は「集客目的での運営実績が3カ月以上ある」を条件にし、「無料サービスで作成されたもの」「名刺代わりとして作成されたもの」は追加書類が必要としています。 楽天銀行は、ホームページがあっても設立6か月以内なら事業実態書類が必要です。
ネットショップの住所表記をどうするかは特定商取引法の住所|個人が非公開にできる条件で扱っています。 PayPay銀行が特商法表記を確認事項に挙げている以上、口座審査の前に整えておく項目です。
3. 固定電話は「必須」ではなく「補助資料の1つ」
「固定電話がないと口座が作れない」という話をよく見ます。 確認した公式ページで固定電話が登場するのは、次の2か所です。
- PayPay銀行:登記住所と受取住所が異なる場合の「法人の補助資料」として、公共料金の領収書「電話(固定電話限定、IP電話、携帯電話・スマートフォンは不可)」
- GMOあおぞらネット銀行:本人確認書類の補完として「公共料金の領収証書(電気・ガス・水道・固定電話)」
いずれも住所を裏づける書類の選択肢であって、固定電話の契約を必須条件とする記載ではありません。 「固定電話がないと不可」と公式に書いている銀行は、この11先では確認できませんでした。
4. 郵便物を受け取れることが、審査と同じくらい重い
ネット銀行4行はいずれも、転送不要の簡易書留を送ります。 受け取れなければ口座は使えず、GMOあおぞらは「カードの解約や、口座の利用制限、口座解約となる場合」と明記しています。
バーチャルオフィス側の受取条件も確認しておく必要があります。
| 事業者 | 公式FAQの記載(2026年9月14日確認) |
|---|---|
| レゾナンス | 「銀行などから届く、転送不要の簡易書留の受け取りは可能ですか。」→「受け取り可能です。追跡記録のついている郵便物ですので、ご到着時に300円の受け取り費用をデポジットから差し引きしてのお受け取りとなります。」 |
| バーチャルオフィス1 | 「開設時に届くキャッシュカード等のサインが必要な郵便物も無料で代理受け取りに対応。本人限定受取郵便の場合は不在票を受領し、LINEで連絡いたします。」 |
| Karigo | 「法人・屋号名のご契約で法人・屋号名宛てであればクレジットカード作成、銀行口座開設関連、証券口座開設関連の郵送物はお受け取り可能でございます。」 |
PayPay銀行は「転送届を出していても、受け取れません」と書いています。 バーチャルオフィスの転送は郵便局の転送届とは別の仕組みですが、銀行が指定する住所で本人(または事業者)が実際に受け取れる状態にしておくことが前提です。
5. 実質的支配者と取引目的は、書類より「説明」
犯罪収益移転防止法第4条の4項目のうち、取引目的と実質的支配者は書類より申告と説明が中心です。 三菱UFJ銀行は「主たる事業、また履歴事項全部証明書上、事業目的が多岐にわたる場合、その内容についてご説明をお願いします」と書いています。
定款の事業目的を広く書きすぎると、説明の負担が増える。これは各行の記載から読み取れる実務上の含意です。
各社の「口座開設実績」を原文で確認する
バーチャルオフィス各社は「実績多数」「保証」などの言葉を使います。 何を指しているのかを、2026年9月14日に生HTMLを取得して確認しました。
レゾナンス:「実績」の定義は「郵便物が届いている」こと
レゾナンスは「法人口座開設紹介制度」と「法人口座開設実績」の2ページを持っています。
紹介制度のページ(更新日2026年4月6日)で紹介先として挙げられているのは、みずほ銀行、GMOあおぞらネット銀行、ドコモSMTBネット銀行、PayPay銀行の4行です。 なおHTML内には「住信SBIネット銀行」のロゴのalt属性がコメントアウトされた状態で残っており、旧名から差し替え中と読めます。
同ページには、次の注記があります。
口座開設につきましてはあくまで銀行の審査によりますので、ご希望に沿えない場合もございますので予めご了承下さい。
※ご使用の際は、事業計画書のご利用で実際の審査結果・口座開設を保証するものではありません。
同じ紹介制度ページのFAQ欄には「銀行は『事業の実態』『必要書類の整備』を重視しており、住所がバーチャルオフィスであること自体が理由で否決されるわけではありません。」「ホームページがなくても口座開設できますか?」→「可能です。」と書かれています。 一方、サイト全体のFAQ(/faq/)のほうは更新が追いついておらず、紹介先を「みずほ銀行、GMOあおぞらネット銀行、住信SBIネット銀行、PayPay銀行の4社」と旧行名のまま記載しています(2026年9月14日時点)。
実績ページ(更新日2026年7月28日)は、銀行ごとに4種類の記号で状態を示しています。 記号そのものは画像とCSSで描かれていて、本文テキストには出てきません。 当サイトはHTMLのclass名(maru2/maru1/kaku3/batten)と凡例の対応から、次のように読み取りました。
| 記号(凡例の原文) | 該当する金融機関(class名から読取) |
|---|---|
| ◎「実際ご利用いただいているレゾナンス会員様宛に銀行口座開設に関する郵便物が頻繁に届いています。」 | みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、ゆうちょ銀行、GMOあおぞらネット銀行、ドコモSMTBネット銀行、PayPay銀行、楽天銀行 |
| ○「……郵便物が到着した実績がございます。」 | りそな銀行、横浜銀行、湘南信用金庫 |
| △「現時点で開設実績はありませんが、銀行に問い合わせしたところ『バーチャルオフィスだから口座開設できないことはない。』と回答いただきました。」 | 新生銀行(レゾナンスの表記のまま。現在の商号はSBI新生銀行) |
| ×「現時点では『開設不可』とのことでした。ただしバーチャルオフィスを利用していることを理由に開設できない銀行は少なくなってきていますので今後開設できる可能性がございます。」 | イオン銀行、東京スター銀行、きらぼし銀行 |
ここで注意が要ります。 ◎と○の「実績」は、会員宛に銀行からの郵便物が届いた、という意味です。 口座が開設された件数でも、審査通過率でもありません。 ×の3行(イオン銀行・東京スター銀行・きらぼし銀行)についても、当サイトがその3行の公式ページで「バーチャルオフィス不可」の記載を確認したわけではありません。 これはレゾナンスが問い合わせた結果として書いている内容であって、当該3行が公式に不可と表明したものではありません。
実際、他社の記載と食い違います。
- 東京スター銀行:DMMバーチャルオフィスは「担当者にお電話でお聞きしましたが、バーチャルオフィスだから開設ができないということはなく、総合的に審査をしているとのことでした」と書いています(実績は「現時点で実績はありません」)
- きらぼし銀行:DMMバーチャルオフィスは「支店にお聞きしてみましたが、バーチャルオフィスでは法人口座の開設は不可とのことです。」と書く一方、GMOオフィスサポートは自社の開設実績の地方銀行欄に「きらぼし銀行」を挙げています
同じ銀行について、事業者ごとに逆の内容が書かれています。 電話で聞いた相手が誰かによって答えが変わるということであり、事業者の◎○△×は、その銀行の方針の証明にはなりません。この3行を検討するなら、当該行に直接確認してください。
出典: レゾナンス 法人口座開設紹介制度/法人口座開設実績/FAQ(2026年9月14日確認)
バーチャルオフィス1:「保証」は返金制度
バーチャルオフィス1の「法人口座開設保証®」は、登録商標(登録第6225089号)と明記されています。内容は次のとおりです。
法人口座開設に関する不安解消のために、法人口座が開設できないために退会をする場合、入会金と基本料金を返金する制度を設けています。 ※利用には当社が定めるルールに従って口座開設を行っていただく必要があります。
開設を約束する制度ではなく、開設できなかった場合の返金制度です。 同じ箇所に、次の注記も並んでいます。
※利用をお断りするケースもございます。 ※利用には当社が定めるルールに従って口座開設を行っていただく必要があります。 ※退会までの期間中に発生した郵便転送費用等は返金の対象に含まれません。
つまり返ってくるのは入会金と基本料金だけで、郵便転送費用などは戻りません。制度の利用自体を断られる場合もあります。条件の詳細は申込前に公式ページで確認してください。
なお同社は「一部の銀行ではバーチャルオフィスで登記している法人の口座は作れないとしているケースもありますが、多くの銀行がバーチャルオフィスを利用していても開設可能と明言しています。」とも書いています。事業者側も、断る銀行が存在することは否定していません。
このほか同社は、法人口座開設マニュアルの進呈、銀行提出書類の事前チェック、「銀行に提出を求められる賃貸借契約書に代わる利用証明書」の発行を掲げています。 FAQには「本サービスは賃貸借契約ではありませんので賃貸借契約は発行できません。銀行口座の開設手続き等に対してはサービスの利用契約証明書を発行いたします。」とあります。
なお、以前あった /houjinkouza/ のページは、2026年9月14日時点でトップページへリダイレクトされており、内容はトップページに統合されています。
出典: バーチャルオフィス1/FAQ(2026年9月14日確認)
GMOオフィスサポート:実績の調べ方を自ら開示している
GMOオフィスサポートは、サービスページで「法人銀行口座の紹介」としてGMOあおぞらネット銀行と三井住友銀行(Trunk)を挙げ、「※開設を保証するものではございません。」と明記しています。
ブログ記事では実績の根拠をこう書いています。
GMOオフィスサポートに届く郵便物(銀行の口座開設書面)からどの銀行で開設ができているのかを調査しました。
※GMOオフィスサポートのバーチャルオフィスのご利用で銀行の法人口座開設が保証されるものではございません。開設可否はお申し込みの銀行での審査基準に準じます。
レゾナンスと同じく、実績=郵便物の到着です。 また同社は、銀行口座開設や融資の打ち合わせに限って使える「会員専用面談スペース」を一部拠点に設けています。
出典: GMOオフィスサポート サービス/ブログ「バーチャルオフィスで銀行法人口座は開設出来る?!」(2026年9月14日確認)
Karigo:可否を言わず、銀行に聞くよう案内
Karigoは、FAQで「弊社住所で銀行口座開設できますか?」に対し、次のように答えています。
口座開設に関しましては作成される銀行、および担当者によって対応が異なりますので作成をご検討されている銀行へお問い合わせいただくことをお勧めします。
実績も保証も掲げていません。この記事の整理と最も近い立場です。
出典: Karigo FAQ(2026年9月14日確認)
0円バーチャルオフィス(京都朱雀スタジオ):金融機関名はaltにしかない
副業・起業支援プランのLPのFAQには、こう書かれています。
はい、可能です。これまでに会員の法人様が銀行口座開設ができなかった等の状況は発生しておりません。下記の金融機関で法人口座開設が完了しています。
「下記の金融機関」は本文にはなく、ロゴ画像のalt属性に「◯◯での口座開設実績がございます。」の形で書かれています。 生HTMLで確認したaltは、京都銀行、京都中央信用金庫、京都信用金庫、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、ゆうちょ銀行、GMOあおぞらネット銀行、住信SBIネット銀行(旧名のまま)、PayPay銀行の10件です。 みずほ銀行のaltは文が途中で切れており、記述の管理が行き届いているとは言えません。
「できなかった状況は発生しておりません」は、同社が把握している範囲の記述です。 会員が銀行に断られても同社に報告するとは限らないため、当サイトはこの一文を「審査に落ちない」という意味では受け取っていません。
出典: 京都朱雀スタジオ 副業・起業支援プラン LP(2026年9月14日確認)
線引き:「実績あり」「保証」「紹介」は、いずれも開設を約束しない
| 表現 | 実際の中身 |
|---|---|
| 「開設実績あり」(レゾナンス・GMO・DMM) | 会員宛に銀行の郵便物が届いた、という事業者側の観察。件数・通過率ではない。DMMの一覧は「※2021年12月1日時点の法人口座開設実績になります」と明記されており、5年近く前の情報 |
| 「法人口座開設保証」(バーチャルオフィス1) | 開設できずに退会する場合の、入会金と基本料金の返金制度 |
| 「銀行紹介」(レゾナンス・GMO) | 申込導線と事業計画書フォーマットの提供。「銀行独自の審査」があると各社が明記 |
| 「できなかった状況は発生していない」(京都朱雀スタジオ) | 同社が把握している範囲の記述 |
各社が自ら「保証するものではない」と書いている以上、当サイトもそれ以上のことは書きません。
断られた場合の現実的な選択肢
審査に落ちた理由は、原則として教えてもらえません。 そのうえで、公式の記載から導ける選択肢を並べます。
1. 別の銀行に、書類を増やして申し込む
レゾナンスの実績ページにも「ある金融機関で開設できなかった場合でも、別の金融機関では開設できることがあります。」とあります。 各行が求める書類の「型」は共通しているので、1行目で足りなかった第三者の書類(契約書、貴社宛の請求書、許認可証)を揃えてから次に向かうのが順当です。
PayPay銀行は「お持ちの書類が利用できるかわからない場合、事前にお問い合わせいただいてもご回答できません。担当部署で確認のうえ判断させていただきますので、一度書類をご提出ください。」と書いています。 事前確認ができない銀行がある、という前提で動く必要があります。
2. 取引の実績ができてから出し直す
三井住友銀行が事業計画書を認めるのは「設立間もないお客さまで、上記書類が提出できない場合に限り」です。 楽天銀行はホームページがあっても設立6か月以内なら事業実態書類を求め、東京三協信用金庫は「法人設立1年未満」を断る場合の例に挙げています。 取引の書類が1件でも出せる状態になると、提出できる書類の型が一気に増えます。
3. 事業の実体がある場所に住所を移す
信用金庫の一部は「事務所への訪問」を公式手順に含めています。 訪問を受けられる場所が必要なら、専有スペースのあるレンタルオフィスや、受付常駐のコワーキングが選択肢になります。 違いはバーチャルオフィスとレンタルオフィスの違いで整理しています。
ドコモSMTBネット銀行の「バーチャルオフィス連携サービス」には、レゾナンス・DMMバーチャルオフィス・オフィスゼロワン・アントレサロン・ワンストップビジネスセンター・NAWABARIが掲載されています。 このうちアントレサロンは、同じ申込ページでバーチャルオフィスプラン・フリーデスクプラン・個室プランを選べます。 ただし、金融機関の訪問や対面での打ち合わせに使える場所が欲しいという目的なら、選ぶべきは個室プラン(または作業席のあるフリーデスクプラン)です。バーチャルオフィスプランを選んでも、この節の問題は解決しません。 また、資料のダウンロードだけでは契約になりません。プランを選び、Webの申込フォーム(お申込み・来店予約/内覧予約/WEBでお申込)から申し込む形です。
アントレサロンのプランを見る東京・神奈川・埼玉の19拠点。バーチャルオフィス/フリーデスク/個室の各プランがあり、申込ページで選びます(古物商の営業所として検討できるのは個室プランのみ)
4. 時期を置く
ゆうちょ銀行は「例年3月から6月まで申し込みが集中し、審査に2か月程度を要する場合があります」と書いています。 急ぎでなければ、集中期を避けるだけで待ち時間が変わります。
やってはいけないこと
金融庁・警察庁の要請文は、口座売買の周知を各行に求めています。 GMOあおぞらネット銀行の申込ページには「口座の売買・譲渡・譲受・貸借は犯罪です。」という画像が置かれています。 断られたからといって、他人名義の口座を使う、実体のない住所で申し込みを繰り返す、といった行為は選択肢に入りません。
デメリットと、この記事が向いていない人
バーチャルオフィス住所で口座を作ることのデメリット
- ネット銀行の多くは転送不要の簡易書留を法人住所宛に送る。受取のたびに事業者の受取費用(レゾナンスは300円)や転送費用がかかる
- 信用金庫のように「事務所への訪問」を手順に含める金融機関では、説明の負担が増える
- 楽天銀行・PayPay銀行のように、バーチャルオフィス利用を明示的に「追加書類が要る条件」にしている銀行がある
- 東京三協信用金庫のように、「レンタルオフィス・シェアオフィス等」を名指しして断る場合があると書いている金融機関がある
- りそな銀行のように、登記住所がバーチャルオフィスだと利用申込書・利用承諾書などの提出を求める銀行がある。バーチャルオフィス側が発行できる書面の種類を、契約前に確認しておく必要がある
- ゆうちょ銀行は設立6か月以内の法人に建物登記簿謄本や賃貸借契約書などの追加書類を求める。バーチャルオフィスの利用契約は賃貸借契約ではないため、どの書類で出すかを事前に確認する必要がある
- 「実績」「保証」「紹介」のどれも開設を約束しない。落ちたときに事業者ができるのは、返金(バーチャルオフィス1の制度の場合)か別行の案内まで
この記事が向いていない人
- 「この銀行なら通る」という断言が欲しい人。審査基準は非公開で、当サイトは順位づけをしません
- 融資や資金調達の話を期待している人。本記事は口座開設の要件だけを扱い、融資には触れません
- 登記の手続きを知りたい人。登記は法人登記の記事で扱い、申請手続きそのものは法務局の案内に委ねています
- 個人事業主の屋号付き口座を探している人。そちらは屋号付き口座おすすめ7行の比較が対応します
申込前に揃えておくもの:各行の記載から作った一覧
公式の必要書類を横断して、共通する準備項目をまとめました。銀行ごとの差は上の一次情報テーブルで確認してください。
| 項目 | 根拠となる各行の記載 |
|---|---|
| 履歴事項全部証明書 | 三菱UFJ・楽天・ゆうちょ・東京三協は発行から6か月以内、りそなは3か月以内と期限が違う。GMOあおぞら・ドコモSMTBのオンライン申込は郵送不要 |
| 法人の印鑑証明書(楽天は3か月以内、三菱UFJ・ゆうちょは6か月以内) | 三菱UFJ・楽天・ゆうちょで必須。三井住友は代表者以外が手続きする場合などに原本の郵送、PayPay・りそなも条件つき |
| 本社(登記住所)の確認書類 | りそなは必須。バーチャルオフィスを選ぶと「利用申込書、利用承諾書等」を求められる。バーチャルオフィス1は「本サービスは賃貸借契約ではありませんので賃貸借契約は発行できません」として、代わりに利用契約証明書を発行するとしている |
| 取引担当者の本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード) | 全行。GMOあおぞら・PayPayは顔の撮影を含む |
| 実質的支配者の確認資料または申告 | 全行(犯罪収益移転防止法第4条第1項第4号) |
| 第三者が関与した事業の書類(契約書・貴社宛請求書・許認可証) | GMOあおぞら・三井住友・PayPay・楽天で1点以上必須。三菱UFJ・みずほは「必要に応じ」 |
| 事業内容を説明できるホームページ(あれば) | PayPay・GMOあおぞらは条件つき。無料サービスの無独自ドメインは対象外 |
| 転送不要の簡易書留を受け取れる体制 | ネット銀行4行が明記。バーチャルオフィス側の受取条件と費用を先に確認 |
レゾナンスは紹介制度の申込時に「銀行口座開設紹介を希望する」にチェックを入れ、初期費用の入金確認後に紹介URLと事業計画書フォーマットが届く流れです。 当サイトが案内しているのは、法人登記に使える一年払いコースの週1回転送プラン/月1回転送プランです(住所貸しのみのネットショッププランは扱っていません)。 紹介制度を使っても、開設の可否は銀行の審査によります。レゾナンス自身も「口座開設を保証するものではございません」と明記しています。
レゾナンスの料金プランを見る東京・横浜・大阪の12拠点(2026年10月1日に池袋店が開業予定)。月額990円〜で法人登記にも使えます
よくある質問
Q1. バーチャルオフィスの住所だと、法人口座は開設できませんか
2026年9月14日に確認した11先の公式ページに、「バーチャルオフィス」の語で不可とした記載はありませんでした。GMOあおぞらネット銀行は「バーチャルオフィス・レンタルオフィスを法人の登記住所としている場合でも、GMOあおぞらネット銀行の法人口座を開設できます。」と明記しています。 ただし東京三協信用金庫は「レンタルオフィス・シェアオフィス等の場合はお断りさせていただく場合があります」とPDFに書いています。 各行とも審査基準は非公開で、「総合的判断」で断る場合があると書いています。可否は個別です。
Q2. 審査で何を見られるのですか
法律上は、名称と本店所在地、取引目的、事業の内容、実質的支配者の4点です(犯罪収益移転防止法第4条第1項)。 各行はこれに加えて「現在、実際に事業活動が行われていること」を第三者の書類で確認しようとしています。GMOあおぞらネット銀行と三井住友銀行は、その考え方を公式ページで説明しています。
Q3. 固定電話がないと開設できませんか
固定電話の契約を必須とする公式記載は、確認した範囲では見つかりませんでした。 固定電話が登場するのは、PayPay銀行やGMOあおぞらネット銀行が住所の補助資料として公共料金の領収書を例示する箇所です。
Q4. ホームページは必要ですか
PayPay銀行は「業務内容が確認できるホームページ」の有無で提出書類が変わります。なければ「ホームページなし」を選び、事業内容の確認資料を出す流れです。 GMOあおぞらネット銀行は運営実績3か月以上などの条件を置いています。レゾナンスのFAQは「ホームページがなくても口座開設できますか?」に「可能です。」と答えています。
Q5. 「法人口座開設保証」があれば安心ですか
バーチャルオフィス1の制度は、開設できずに退会する場合に入会金と基本料金が返金対象になるものです。開設を約束する制度ではなく、同社の定めるルールに従う必要があります。
Q6. 「開設実績あり」はどのくらい信用できますか
レゾナンス・GMOオフィスサポート・DMMバーチャルオフィスは、いずれも「会員宛に銀行の郵便物が届いている」ことを実績と定義しています。件数や通過率ではありません。 レゾナンスとGMOオフィスサポートは「口座開設を保証するものではございません」と自ら書いています。DMMバーチャルオフィスの表現は「※口座開設は銀行の審査によりますのでご希望に添えない場合がございます。」で、同じくページ末に「※2021年12月1日時点の法人口座開設実績になります」とあります。
Q7. 設立したばかりで取引の書類がありません
PayPay銀行は「資料が提出できないお客さまは口座開設できません。法人を設立したばかりもお客さまも同様です。」と明記しています。 三井住友銀行は設立間もない場合に限り事業計画書を認め、みずほ銀行・三菱UFJ銀行は会社案内やパンフレットを例示しています。銀行によって扱いが分かれる点です。
Q8. ネット銀行と都市銀行、どちらが通りやすいですか
通りやすさの比較は、審査基準が非公開である以上できません。 公式に確認できる違いは、申込形式(Web完結か、面談・来店・訪問があるか)と、書類の型(事業実態書類が必須か「必要に応じ」か)です。
Q9. 断られた理由は教えてもらえますか
理由を開示すると書いている銀行は確認できませんでした。三菱UFJ銀行はFAQで「ご相談内容によっては口座開設をお断りすることもございます」と書くにとどまります。 さがみ信用金庫と東京三協信用金庫は、断った場合でも提出した書類の写しは返却しないと明記しています。
Q10. 一度落ちたら、同じ銀行に再申込できますか
再申込の可否を公式に書いている銀行は、確認した範囲では見つかりませんでした。 書類の型を増やして別行に申し込むほうが、公式記載から導ける現実的な順序です。
Q11. 口座開設に関わる税務上の扱いを知りたいです
税務に関することは、本記事では扱いません。国税庁の案内をご確認ください。
Q12. 個人事業主の屋号付き口座も同じですか
個人事業主は犯罪収益移転防止法上「自然人」として扱われ、確認方法が異なります。屋号付き口座おすすめ7行の比較で別に整理しています。
まとめ
- 銀行の確認事項は犯罪収益移転防止法第4条で決まっている。法令上の最低ラインは登記事項証明書1通だが、各行はそれ以外の「事業の実体を示す書類」を求めている
- 背景には、金融庁・警察庁の令和6年8月の要請「口座開設時審査における、より厳格な実態・利用目的の確認」がある。厳しさの理由は住所ではなく、法人口座の不正利用
- 2026年9月14日に確認した11先で「バーチャルオフィス」の語で不可とした銀行はなかった。GMOあおぞらは「可」を明記、楽天・PayPayは追加書類と住所の扱いを明記、りそなは申込フォームに選択肢がある
- ただし東京三協信用金庫だけは「レンタルオフィス・シェアオフィス等の場合はお断りさせていただく場合があります」とPDFに明記している。「どこも断らない」ではない
- 各社の「実績」は「郵便物が届いている」という意味。「保証」は返金制度(郵便転送費用は返金対象外)。「紹介」は導線。どれも開設を約束しない
- 事業者が載せる◎×は、その銀行の方針ではない。同じ銀行について事業者ごとに逆のことが書かれている例がある
- 落ちたら、第三者の書類を増やして別行へ。取引の実績が1件でもできると、出せる書類の型が変わる
制度は変わります。金融庁の要請も各行の必要書類も、記事公開から3か月経ったら再確認する前提でお読みください。
紹介制度と事業計画書フォーマットを使うなら、レゾナンスの一年払いコース(週1回転送プラン/月1回転送プラン)が対象です。
レゾナンスの料金プランを見る東京・横浜・大阪の12拠点(2026年10月1日に池袋店が開業予定)。月額990円〜で法人登記にも使えます
返金制度を優先するなら、バーチャルオフィス1の「法人口座開設保証®」です。 返るのは入会金と基本料金のみで、郵便転送費用等は返金の対象外、制度の利用を断られる場合もあると同社が注記しています。適用条件を公式ページで確認してから申し込んでください。
バーチャルオフィス1の料金を見る月額880円+郵送費用。法人登記と月4回の郵便転送が基本料金に含まれます
筆者について
カイと申します。ネットで物を売る個人のための実務メディア「海外売る」を運営しています。 住所・許可・口座・決済といった事業インフラを自分で契約・申請し、その手順と所要日数を記録しています。 記事では、公式サイト・法令・行政資料にあたって確認した事実と、確認できなかったことを分けて書くようにしています。
お問い合わせ: info@kaigai-uru.com
参考・出典
すべて2026年9月14日に取得・確認しました。引用文は原文と一致することを確認しています。
法令・行政資料
- 犯罪による収益の移転防止に関する法律(e-Gov法令検索) — 第4条第1項(e-Gov法令APIで現行条文を取得)
- 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則(e-Gov法令検索) — 第10条第2号、第11条
- 金融庁「法人口座開設に係る取引時確認について」(平成25年9月3日)
- 金融庁「法人口座を含む預貯金口座の不正利用等防止に向けた対策の一層の強化について」(令和6年8月23日)/概要PDF
- 全国銀行協会「犯罪による収益の移転防止に関する法律の改正に伴うお取引時の確認について」/同 よくある質問・回答
銀行公式サイト
- GMOあおぞらネット銀行 法人口座開設/ご利用までの流れ/事業内容確認書類について/法人口座開設をご検討の方のよくあるご質問(FAQ)
- ドコモSMTBネット銀行 法人のお客さま/口座開設の流れ/バーチャルオフィス連携サービス
- PayPay銀行 口座開設に必要な書類(法人)/事業内容の確認資料について/業務内容が確認できるホームページとは/法人口座の申込
- 楽天銀行 法人ビジネス口座/必要書類/注意事項
- 三井住友銀行 Trunk/必要書類
- 三菱UFJ銀行 法人口座開設/WEB法人口座開設に関するよくあるご質問(所要日数・手続きの流れ・審査の記載はこちら)
- みずほ銀行 FAQ No.8653「法人口座開設時に必要な書類は何ですか。」(本体サイトの法人口座ページは当サイトからの取得がブロックされたため、FAQのみ参照)
- りそな銀行 法人口座開設/必要な書類
- ゆうちょ銀行「法人口座を開設されるお客さまへ」
- さがみ信用金庫「新規法人口座開設」
- 東京三協信用金庫「法人口座を開設されるお客さまへ」(PDF・改2025.7)
バーチャルオフィス各社
- レゾナンス 法人口座開設紹介制度/法人口座開設実績/FAQ
- バーチャルオフィス1/FAQ
- GMOオフィスサポート サービス/ブログ「バーチャルオフィスで銀行法人口座は開設出来る?!」
- Karigo FAQ
- 京都朱雀スタジオ 副業・起業支援プラン LP
- DMMバーチャルオフィス 法人口座の開設実績
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